営業部門向け生産性向上コンサルティング


1)営業部門の生産性向上の基本的な考え方

 B to B であれ B to C であれ、新規発掘営業であれルートセールスであれ、成果(受注目標の達成)をあげている要因は、「正しい営業活動」で「適切な営業活動量」をこなしているからだといえます。すなわち、営業活動の「質」と「量」が適切だということです。逆に、十分な成果が出せていない場合は、営業活動の「質」または「量」、あるいはその両方に何らかの問題があると考える必要があります。したがって、営業部門の生産性を向上させる取り組みとは、個々の営業担当者の活動の「質」のバラツキを明らかにし、適切な基準を設定し、全体をその基準にボトムアップさせることと、成果創出のために必要な活動量を明らかにし、そこに集中して時間を投下できるように環境整備をすることになります。

営業活動の生産性向上、改善方針
営業活動の生産性ポジション図

 営業活動の「質」を横軸に営業活動の「量」を縦軸に取り、生産性向上の方向性を表したものが右図となります。

 稼働率とは、営業活動において成果を創出するためにより多くの時間を投下する必要がある業務が全業務の中でどの程度占めているかを表す指標です。成果創出のためにより多くの時間を投下すべき業務は、顧客への訪問(ニーズヒアリングの訪問、顧客へのジャブ提案、本提案の訪問、諸条件のすり合わせの訪問、クロージングの訪問等)です。顧客への訪問件数が十分でなければ、いくら正しい売り方ができていてもその成果は小さいものとなります。逆に社内での事務作業、移動時間、資料作成にどれだけ時間を投下しても顧客への訪問なしには成果をあげることはできません。すなわち、そのような業務への時間はなるべく少ない時間で済ませ、顧客への訪問時間を多くとることが稼働率を上げることになります。

 対象となる営業部門の一人ひとりの実績業務からそれぞれの稼働率が適正であるかどうかをチェックし、適正でなければ、何が稼働率を低くしているのかを分析し、対策を検討することから取り掛かることになります。また、同時に正しい売り方ができている人(成果をあげている人)とそうでない人の違いを明らかにすることにも着手します。その方法は、営業活動の細分化です。

営業活動の生産性向上、セールスステップ、プロセスの可視化、見える化
セールスステップ

 正しい営業活動は、右図のようなセールスステップの形で表すことができます。各営業担当者がどのようなステップを踏んで受注までステップアップしているのかを一人ずつ可視化していきます。そして、個々人のセールスステップをつき合わせながら、各ステップで何をゴールとして準備し、どのようなツールを使い、何を実施しているのかをまとめて当面の最適なセールスステップを組み立てます。そのセールスステップに基づき各営業担当者が正しい営業活動を実践できるようにフォローしていくことで営業活動の「質」を向上させ、最終的に成果に結びつけていきます。

2)現状の把握

 上記の正しい売り方と稼働率のマトリックスにより対象となる営業担当者と営業部門がどの象限にあるかを押さえた上で、生産性向上を進めていくための方向性を設定します。稼働率が高いが、売り方が悪いのであればセールスステップ上のどのプロセスをどのように改善していくのかを設定します。売り方は良いが稼働率が低いのであれば、どの業務が本来の営業業務の邪魔をしているのかを明らかにし、その削減対策を検討します。

 稼働率の現状把握のためには、何の業務にどれだけの時間を投下しているのかを確認する必要があります。そのためには、業務実績データを集計するための業務分類表を作成する必要があります。

主体業務、付帯業務、稼働率、生産性
業務分類表

 左表は業務分類表の事例です。営業担当者の全業務を主体業務と付帯業務に分類しています。主体業務は、営業担当者が成果創出のためにより多くの時間を投下する必要のある業務を意味しています。主体業務以外の業務を付帯業務としています。前述の稼働率は、主体業務と付帯業務に使った時間に対する主体業務の時間の割合です。

 一般的に、営業部門であれば稼働率は40%~60%あれば高い方です。どうしても移動時間の割合が一定量取られてしまうからです。低い稼働率の方ですと20%程度しかない場合もあります。個々の営業担当者の稼働率を比較した際に、どなたの時間配分があるべき姿としての基準になり得るのかを検討し、稼働率の目標値を設定することになります。

 次に営業活動の「質」についての現状把握ですが、上記セールスステップ表を活用して個々の営業担当者の能力発揮状態を整理することになります。右下の表はその事例です。ここでは、Aさん、Bさん、Cさんが各ステップのゴール達成状況について 〇、△、× で評価をしています。

 この評価については、セールスステップを皆で確認していく中で、各人の取り組み状況を説明していきながら皆で評価をしていきます。そのプロセスをとおして、各人にこれから目指すべき営業活動のあり方と自分の課題を理解してもらいます。そして、△の方は〇へ、×の方は△、〇へと評価してもらえるようになることを個人目標とします。

3)生産性向上

 各人の受注目標に対してセールスステップのステップアップ確率(実績がない場合は仮で設定)を当てはめていきますとそれぞれどの程度の見込み客数を発掘する必要があるのか、どの程度の提案件数をこなす必要があるのかが算出されます。たとえば、見込み客の発掘~受注に至るまでの確率が10%であれば、1件の受注を獲得するためには、10件の見込み客を発掘しておかなければなりません。10件の受注であれば100件の見込み客の発掘が求められます。それに応じて提案訪問件数も必要となります。

 スケジュール段階で必要となる活動量を入れ込むことが難しいとなれば、その目標を達成させることも難しいということになります。その場合は、ステップアップ確率をさらに改善させるための施策を検討しておく必要があります。または、あるステップでの取り組みが苦手な方に対しては、そこを上手くできる方にサポートしてもらう、あるいは、代行してもらうような業務配分をしなければなりません。それがマネジメントであり、マネジャーの仕事となります。

 したがって、生産性向上活動は、通常の営業活動業務を通して、

 

 ・各人のスケジュールが適切に組み立てられているかどうか

 ・ステップアップ確率を高めるための準備や対策が盛り込まれているかどうか

 

を毎週のスケジュールチェックによりフォロー、対策の指示をおこなっていくことになります。

 ステップアップ確率を上げる施策は、各人の弱いステップに対して次の視点で具体的な対策を指示し、スケジュールにまで落とし込ませるようにします。

 

 ・ステップアップ確率を強化するためのツール開発

  例)ヒアリングシート、提案書、プレゼンツール類等

 

 ・事前トレーニング

  ロールプレイング、プレゼンリハーサル等

 

 ・段取りレビュー

  訪問前に訪問ゴールの確認とどのような準備をし、どのような流れで面談を進めていこうとしているのかをチェック、

  指導する

 

 ・代行

  上記対策でも不安がある場合は、同行して営業担当者の力量不足分をカバーする

 

のいずれかのうち何を事前に取り組むことで弱いステップを補強するのかを設計していきます。

 このような取り組みを半年程度実施していく中で、生産性向上活動がマネジメントサイクルの中に自然と組み込まれることになります。それが定着することでマネジメントレベルの強化、営業担当者の能力開発、営業部門の組織力強化、生産性向上が習慣化されていき、外部からの押し付けの取り組みではなく、自分たち自身の活動となっていきます。


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