気づきの与え方

 人材育成において「気づき」を与えることができるかどうかはマネジャーにとって重要なことです。部下の問題行動を指摘しても、部下がそれを問題として捉えていない場合は、その行動は改善されることはありません。また、自ら考え、行動する人になってもらうためには、そのように仕向ける必要があります。「自ら考える」という思考習慣は、「気づき」が得やすくなる土壌を作ります。

 「自ら考える」ことを習慣化させるためには、上手に質問をしてあげることが必要です。人は、質問されると、大抵の場合、それについて考えようとします。質問をすることで「考える」機会を増やしてあげるということです。

 相手の考え、思っていること、感じていることを以下のように確認します。

 

 「●●についてはどう思う?」、「●●をどうしたら良いと考えている?」

 

このような質問に対して部下が何か回答した場合、

 

 「なぜそのように思う?」

 

と理由を確認することでさらに部下の思考を深めることができます。

 もし、こちらの質問に対してスムーズに回答が出てこないようでしたら、それは相手の考えがまとまっていないからか、どう考えていいか分からないからという理由が考えられます。その際は、相手が考えている状態をしばらくの間静観し、質問の仕方や質問内容そのものを変えてあげることが必要です。その際の視点には次のようなものがあります。

 

 ・より具体的に聞いてみる    「例えば、■■についてはどう思う?」

                 「●●をするとしたらどうなると思う?」

                 「例えば、どういうこと?」

                 「何と何をすれば良いと思う?」

 

 ・選択肢を与える        「●●と■■だとどちらが良いと思う?」

                 「●●についてはそのままで良いか、何かすべきか?」

 

 ・時間軸を変える        「前はどうだった?」、「前と比べて今はどう思う?」

                 「今、●●のままだと1年後はどうなっていると思う?」

 

 ・立場を変える         「もし、お客様の立場だとどう思う?」

                 「あなたの部下からはどう見られる?」

 

 ・自信確率を確認する      「最後までできると思える自信は何%?」

                 「自信度100%とならない●●%分の懸念点は何?」

 

 ・ゴールを再確認する      「そもそものゴールは何だっけ?」

                 「そのゴールを達成するためにはどうすれば良い?」

 

 ・ありたい姿を確認する     「どうありたい?」

                 「どうなりたい?」

 

それぞれの質問に対する回答に対しても、「なぜ、そう思う?」と質問することで部下の考えを掘り下げてあげることが大切です。