時間外勤務の捉え方

1911年(明治44年)3月29日、日本初の労働法となる工場法が明治政府より公布され

ました。工場で働く労働者の最低就業年齢の設定のほか、勤務時間、勤務時間帯を制

限するものでした。ちなみに、年齢に関しては、例外を除いて12歳未満の就業を禁止

したということですから、当時はそれ以下の子供も普通に働かせていた(学校にも行

かせず)ということなのでしょう。

 

 

2019年4月から働き方改革関連法案が施行されます。時間外労働時間の上限が月45時間

となります。これまでも残業規制等を自主的におこなっている会社はたくさんあった

と思います。毎週水曜日をノー残業デーとして、その日は有無を言わさず、決められた

時間になったら帰社させたり、フロア―の電源を切ってしまったりという風景がテレビ

でも何社か紹介されています。

 

 

その際に必ず出てくるのが、「これ(残業なし)では仕事なんか終わらないよ」という

社員からの声です。

 

 

いかにもバリバリ働いている社員の発言のように聞こえます。「あー、この人は途中で

仕事を放りだすことができない責任感のある方なのだな」と思うのではないでしょうか。

 

 

本来、時間外勤務は時間内で完了すべき業務が完了できないときにとる例外的な対応で

す。会社の売上が好調で、仕事がドンドン増えていき、毎日時間外勤務で対応せざるを

得ない場合もあるかと思います。その場合は、一次的には時間外勤務が増えても、その

状態を慢性化させないように、増員することで対応します。

 

 

売上の好調が一時的なものであり、増員してもすぐに余剰人員化してしまう恐れがあれ

ば、それこそ例外的な対応として、時間外勤務を指示すれば良い、となります。

 

 

売上は横ばいできているにもかかわらず、ちょこちょこと時間外勤務が発生していたり、

それが日常化されているのであれば、仕事の仕組みや進め方に問題があるということで

す。

 

 

問題があるのであれば、改善して勤務時間内で業務が完了できるようにする必要がありま

す。それが放置されているということは、その会社のマネジメントの問題であり、そもそ

も取り組んでいる事業モデルが成立しているのか、ということも考えなくてはなりません。

 

 

前述の「これ(残業なし)では仕事になりません」という社員の声がある、ということに

対して増員することができないということは、今の事業のあり方、仕事の回し方に問題が

ある、ということを意味しています。または、問題があったにもかかわらず、手をつけず

に時間外勤務で対応していたということです。

 

 

そのように考えれば、事業が成立していない、競争力がなくなりつつあるという予兆は時

間外勤務の推移で確認できるはずです。

 

 

これまでと同等の売上貢献を定時内の勤務時間内でこなしていこうとなって、はじめてム

ダな作業や業務が見えてきたり、仕事の仕方のまずさが表面化するのだと思います。時間

が制限されることではじめて、何が重要で、何を捨てるべきなのかの決断の必要性に気づ

きます。

 

 

今までは、時間外勤務という対応を取ることで、その諸問題を直視せず、先延ばしにして

きた管理職、経営者の方々も真剣に向き合い、どの対策を選択するべきかという意志決定

を迫られます。

 

 

それができなければ、時間外勤務のゼロ化は難しくなります。そもそもそのような意思決

定をせずに、ただ早く帰れと声掛けするだけの経営者、管理職であれば不要なのかもしれ

ません。